ソウル大辞典:Soul Navi(ソウルナビ) by Soul Museum
マービン・ゲイ
マービン・ゲイ
- Marvin Gaye
- What's Going On
「奇跡の70年代 マービン・ゲイの軌跡」 / BLINDSIDE MUSIC 宮野哲平

いやあ・・難しい。。彼のようなあまりにも有名で偉大な「人物」について記さなければいけないというのは、
野暮でもあり、、しかし「音のモノ書き」を生業としている以上この題材は朝飯前ではいけない。
主婦なら「タマゴ焼き」 中華屋さんなら「チャーハン」ほど奥が深くて難しいのに似ている。笑
原稿の締め切りも過ぎた今(笑)、重い腰を上げ、とりあえず資料に目を通すことから始めることにした。
★ワシントンDC出身のソウル・R&B歌手。(1939年4月2日〜1984年4月2日
父親に射殺され死亡)
★60年代よりモータウンレーベルにてキャリアを積み 1971年名作
「What's going on」 (ホワッツ・ゴーイン・オン) を発表。
★ダニー・ハザウェイ、カーティス・メイフィールド、スティーヴィー・ワンダーら
とともに 黒人差別・ベトナム戦争・貧困などの苦悩を赤裸々に表現した
ムーヴメント「ニューソウル」というジャンルを確立した。云々・・・
確かに上記内容は全て正しく、簡潔にまとめるとこうなる。
改めて思う。。うううむ 野暮だ!(笑) しかし止めじゃ!止めじゃ!という訳
にも行かずなので、ここはベタに「わたしとマービン」という
極私的随筆に趣向を変えることにしようと思う。
しばしお付き合いいただけると幸いです。
僕の生まれた年は1971年。
そのせいかは分からないが、自然と「音楽」はもとより、
「ファッション・社会風俗に至るまで」まで「70年代」というものに
憧れ、魅せられるようになった。
神田は神保町の古本屋では「平凡パンチ」や「ライトミュージック」など、
今やもちろん廃刊となっている当時の情報誌を収集することは
今でもライフワークにしている。「音楽」も未だに聴くのは70年代が多い
ですな。
矢張り「70年代」は最高のカルチャーだと思う。。
1971年は、更に奇跡の年!! 国内外問わずスマイル&ヒッピー文化が
最高潮でもあり、また音楽の「表現」として革新的なもの(ツェッペリンや
パープルのニューロック系など)を内包したアーティストも続々登場した。
どうしても自分のルーツというか、この71年というのは自分にとって特別
な思い入れがある。そういう意味ではこのマービンの「What's Going On」
はスライの「暴動」とともに、我が1971バイブル。
今でそこCD、レコードはきちんと入手したけど、共に高校生の時に地元の
図書館で借りたカセット!(笑)からハイポジカセットにダビングしたものを
未だにウォークマンで聴くことにしている。そうすることによってリアルタイマー
では無いが自分のルーツを確認できると思ったからだ。
横道に逸れるが、、カセットってのは不思議だね。自分で作成した
「カセットラベル」を眺めるだけで当時「ウォークマン」で聴きながら歩いた、
場所・風景・時代を思い出すしね。当時好きだった女の子をドライブに誘った
ときによく車の中でかけてたなあ・・とかね。CDジャケットではあまり
感じないんだけど「カセット」は思い出に更けさせてくれるベストアイテムと思う。
カセット最高!! ト余談終了。
前述の僕の所有している古本情報誌の中に、マービン関係の記事が無いか
試しに調べてみた。すると76年のとある号「ライトミュージック」誌に 新譜リリース
の広告があった。アーニー・バーンズのSUGAR SHACKジャケの名作
「I WANT YOU」のリリース告知である。しかし、当時は今と比べて情報量が
極端に少なかったのであろうか、レコード会社プロモーション担当も良く理解して
いないのではなかったのではと思うほどいい加減なもので それまたご愛嬌で笑える。
A 「ソウルミュージックの王様 マービン・ゲイ 甘いヴォーカルと流麗なサウンドを
臨場感溢れる4チャンネルステレオで・・」
B 「レオン・ウェイアーをバックに迎えて入魂の最新作」(笑)
Aは、当時の広告で多いのが、ステレオの広告とレコードの広告がセットになって
いるものが多く、例えば ビクターステレオとビクター傘下のアーティストレコードの
新譜をセットでプロモーションするという具合だ。 しかしソウルの王様って・・
Bは、商品についてのキャッチだが、、、レオン・ウェイアー(苦笑)。当時は先ほど
情報量の問題から、よくネーミングの表記が今の常識とは違っていたり、ひどい
ものになると、メンバーの写真と名前が入れ替わってたりすることも良くあった。
(実際本号にて クイーンとフレディー・マーキュリーの写真の表記が
ギタリスト:ブライアン・メイになっている)
これを見ても分かるように、マービン・ゲイ(に限った事ではないが・・)は、
リアルタイムでの業界内の扱いより、亡くなったあと、再評価を受けて現在の
圧倒的な地位を築いたアーティストでは無いのではなかろうかと思うのだ。
もちろん、当時のソウルファンの中にあっても、ビッグアーティスト然とした立場も
あったのであろうが、矢張り印象としてはここ日本ではロック・ポップスが全盛の
時期であり、ブラックミュージック(R&B、ソウル)組みは、一部のマニアのもの
として据えられていたように思う。今でこそ、ソウルマニア、評論家、ライター、
からヒップホップ世代も入れると、ポピュラーミュージックの中で占める
ブラックミュージックの位置はロック・ポップスと対等というところまで来ている。
しかし、当時の情報誌どれを見ても、ロック評論・批評のレベルは
当時からも相当なものであったが、ブラックミュージック(ジャズは別格)の
記事は添え物にしか過ぎないという感が否めない。
しかし、以来数十年の経過の中で、ソウルミュージックもロック・ポップス
の源流のひとつという考え方が少しずつ定着(レアグルーヴムーブメントや
フリーソウルなどのコンピ、白人ミュージシャンのミクスチャーサウンド
の登場など)してきたおかげでマービン・ゲイらのミュージックカルチャー
が広く一般に間口広く受け入れられることになったのは喜ばしい限りと思う。
正直僕ももともとの音楽人生はビートルズ・ストーンズをはじめとするロック
からの洗礼でスタートした。しかし、年齢を重ねるごと 音楽に白も黒も無い。
「グッドミュージック・イズ・ベスト」という感覚を持てるようになった。
きっかけはスライの「暴動」であり、「STAND」であり、そしてこのマービンなのだ。
更に云うと 実はこの「I WANT YOU」を聴くきっかけは80年代後半〜90年代
前半のSOUL II SOULらのUKソウルやJAMIROQUAIの
「スペースカウボーイの逆襲」の直接的なテイストは「I WANT YOU」の
インスト名曲M3「AFTER THE DANCE」から拝借したということをジェイ・ケイが
暴露していたことによる。
とにかく、「スペースカウボーイ」の後半のインプロビゼーションのスペイシーな
浮遊感が気持ちよくて、初めて六本木の老舗ディスコ「レキシントンクイーン」で
聴いて以来衝撃を受け関連レコードを漁りたどり着いたのがこの「I WANT YOU」
だったのだ。
- Jamiroquai
- The Return of the Space Cowboy
後で知ったこととして、ファンならずとも有名な逸話の本作はもともと、
メロウ職人 リオン・ウェアーが自信のソロ作品用として制作したものをマービンの
たっての希望で譲り受けたということで、更にリオン・ウェアー〜橋本徹氏の
フリーソウル界隈にも食指が延び、結果として僕がブラックミュージックにハマる
きっかけをとなった作品なのである。
しかも、アーニーのジャケが矢張り最高!この躍動感描写はまさに
M8「SINCE I HAD YOU」が雷鳴している中、ブラザース&シスタースが狂喜
しているがごとくである。
マービン自信の全盛期の音もさることながら アーニーの名画とともにまさに
総合芸術の域に達した傑作ともいえる本作が布石で迎えた82年 遺作にして
名作「MIDNIGHT LOVE」にて完全に伝説となった。
BLINDSIDE MUSIC 宮野哲平
マービン・ゲイ






