SPECIAL INTERVIEW

このインタビューは、2006年5月31日に、e-mail にて回答を頂いたものを
Soul Museum で翻訳し、掲載しています。
生前のアーニー・バーンズ氏より日本のファンへ贈られたメッセージとして、
貴重なインタビューとなりました。

Soul Museum (以下、Q)
「さて、まずは何と言っても、『お体に気をつけて、一枚でも多くの作品を生み出して下さい!』と、日本のファンを代表して、このメッセージをお届けさせてください。あなたの声を聞きたがっている日本のファンがたくさんいます。どうか少しの間おつき合いください。
日本では、おそらく、マービンゲイのアルバム "I Want You" のジャケットになった作品 "Sugar Shack" あるいはカーティスメイフィールドのアルバム "Something To Believe In" のジャケットになった作品 "Late Night DJ" で衝撃とともにあなたのことを知った人が多いようです。
そこで、まずはこの2つの作品についてお伺いさせてください。」
Q:
1971年の作品 "Sugar Shack" について
「60年代のアメリカは、公民権運動という、史上まれに見る大ムーブメントがおこり、歴史の中でも特別な、激動の時代だったと思うのですが、そのような時代に発表された "Sugar Shack" にはどのような背景があったのでしょうか。」
Ernie Barnes:

Shugar Shack"Sugar Shack" 1971

「 "Shugar Shack" は、幼少期の体験からきているんだ。そのとき初めて、自分の中にあった純粋無垢なものが、ダンスと言う、罪のようなものに出逢った。そう、だから は、その時に僕が見たものを再現しようとしたんだ。アフリカンアメリカンが身体の緊張を解かす様にリズムを刻むのをね。」
Q:
1978年の作品 "Late Night DJ" について
「作品 "Sugar Shack" の右上に描かれている "WSRC" の文字は、あなたの出身地のラジオ局だとききました。ラジオは小さい頃から良く聴いていたのですか? また、この作品 "Late Night DJ" に描かれている女性は、そのラジオと関連した思い出からの、インスピレーションがあったのでしょうか。」
Ernie Barnes:

Late Night DJ"Late Night DJ" 1978

「WSRCは、僕の故郷である、ノースカロライナのダラムにあるラジオステーションだったんだ。そうだね、もちろん、ラジオや音楽は良く聴くよ。イマジネーションが膨らむからね。"Late Night DJ" のあの女性は、その膨らんだイマジネーションから来たんだ。
作品の背景には、ひとつストーリーがあって、ジョージア州アトランタでの、ある雨降りの夜でね。雨がひどかったから、友人が空港まで車で迎えに来てくれて、その時に思ったんだ。天気が悪いせいで、たくさんの計画やロマンチックなひとときが台無しにされてるんじゃないかって。そして、ラジオからは男性のDJの声が聞こえてきたんだけど、その夜の天気には合っていなかった。それは女性であるべきだと思ったんだ。他にいったい誰が、女性よりもうまくリスナーをなだめられると思う?」
Q:
「それでは少し話題を軽くします。
趣味志向というのは、そのひとの人生を物語る上でも重要なキーワードだと思うのですが、そういう観点から、いくつかぜひ教えて下さい。
子供の頃好きだった食べ物はなんですか?また現在はとくに好んで良く食べるものはありますか?」
Ernie Barnes:
「オートミールクッキーとチョコレートケーキだね。最近はサーモン、スピナッチ、キャロットやフルーツとか、ヘルシーなものを食べてるよ。僕の奥さんはすごく料理が上手なんだ。」
Q:
「あなたの作品は、マービンゲイをはじめに、たくさんのソウルミュージシャン のレコードジャケットを彩っていますが、音楽は日頃から良く聴きますか? 好きなアーティストや曲があればぜひ教えて下さい。」
Ernie Barnes:
「たくさんいるよ。 Alicia Keys, Swing Out Sister, Bashia.とかね。」
Q:
「あなたのバイオグラフィーを読んで、フットボールが大きく人生に影響したのは良くわかりました。
『スポーツ選手でありながら、芸術家でありつづけるマインドを持つ』
というある種の気づきは、かなり特別なもののような気がしますが、その両者の関係についてお話を聞かせていただけますか?」
Ernie Barnes:
「僕にとって、その2つは一つの経験だったんだ。一方での学びは、同時にもう一方の学びでもあった。動作の中で、身体がどう感じるかということを意識していたんだ。その努力はいまもこうしてキャンバスや紙に、その感情を翻訳するということに繋がっているんだ。」
Q:
「オフの日などは、何をして過ごすことが好きですか?」
Ernie Barnes:
「僕にオフって言うのは無いんだ。ただちょっと描くのを休むときなんかは、苗木畑にでかけて、植物や花を買ってくるよ。本もよく読むし、人々を観察するのも好きだしね。」
Q:
「日本にいらっしゃったことはありますか?」
Ernie Barnes:
「まだ行ったことがないけど、ぜひ訪れてみたいね。」
Q:
「ありがとうございます。 それでは、すこしあなたの思想的なことについてお伺いさせてください。
あなたのバイオグラフィーを読んで、あなたがプロフットボーラー選手時代に、ハーレムの本屋さんで、あるポートフォリオに出逢い、『ヒューマンライフを真摯に描く作品を創ろう!』と強く思ったとのことでしたが、あなたが『絵を描く』という活動を通じて、一貫して表現したいことを短い言葉でいうならば何ですか?」
Ernie Barnes:
「内なる人間性の解放。」(原文:Liberating humanity from within.)
Q:
「次生まれ変わったら、何になりたいですか?」
Ernie Barnes:
「画家、芸術家だね。」
Q:
「ありがとうございます。
"Sugara Shack" を見ると、ずいぶんと励まされるような、行動する勇気をもらうような、人生ってこんなにすばらしいんだ!という、パワフルでポジティブな力を感じるんです。絵を見てますます、音楽が好きになったような気がしますし、生活の隅々に、知らぬ間にその影響が波及しているような気さえします。
最後に、日本のファンへメッセージをいただけますか。」
Ernie Barnes:
「僕たちはもっと自分たちの創造や道徳の泉である、インナーライフを意識するべきなんだ。それを意識する為には、人間が抱く畏敬の念、美しさ、崇高な意味を与えてくれるアート、文学そして哲学の勉強が必要になってくる。それは人類のスピリチュアル・ライフと呼ばれるものさ。」
Q:
「本当にありがとうございました。冒頭でも申しましたが、 お体に気をつけて、これからもたくさんの作品が生まれることを期待しています!」
Ernie Barnes:
「ありがとう。」

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